【Kali Linuxネットワーク設定】IPアドレス設定から疎通確認までわかりやすく解説

Kali Linuxのネットワーク設定

Kali LinuxのIPアドレス設定やMACアドレス確認など、ネットワーク設定に必要な手順をまとめました。VirtualBoxの仮想環境における設定や、ネットワークの疎通確認も含めて網羅的に解説しています。

本記事の末尾には、Kali Linuxをマスターするための具体的なポイントも掲載しています。最後までご覧ください。

目次

前提条件

当サイト(サイト名:デフォラボ)では、多岐にわたるサイバーセキュリティの検証を実施しています。検証ごとにネットワーク設定を調整する必要があるため、この記事では、柔軟かつ汎用的なネットワーク構成を用いて解説しています。

システム環境

この記事では、VirtualBox上に構築したKali Linuxを前提に解説しています。

ホストOSWindows10 Pro 22H2(64bit)
仮想化ソフトOracle VirtualBox 7.1.12
ゲストOSKali Linux 2025.2

まだ、Kali Linuxをインストールしていない方は、こちらの記事をご覧ください。

ネットワーク要件

この記事では、下記の要件を満たすネットワーク設定を行います。

  • Kali Linuxからインターネットに接続できること。
  • Kali LinuxとホストOS間を双方向で通信できること。
  • Kali Linuxと他のゲストOS間を双方向で通信できること。

VirtualBoxのネットワーク設定

ホストOSにネットワークアダプターを作成

STEP

ネットワークマネージャーを起動

VirtualBoxのメニューよりファイル-ツール-ネットワークマネージャーを選択し、ネットワークマネージャーの設定画面を開きます。

VirtualBoxのネットワークマネージャーを起動
STEP

ホストオンリーネットワークタブを開く

ホストオンリーネットワークタブを開く
STEP

ホストオンリーアダプターを作成する

初めてVirtualBoxでネットワーク設定する場合、ホストオンリーアダプターが未作成なので、作成アイコンをクリックし、ホストオンリーアダプターを作成します。

ホストオンリーアダプターを作成する

作成が終わるまで、しばらく待ちます。

ホストオンリーアダプターを作成中
STEP

アダプターを手動で設定する

環境に応じてネットワークアダプターのIPアドレスなどを設定し、適用ボタンをクリックします。

ネットワークアダプターのIPアドレスを設定

設定値の例

IPアドレス192.168.10.1
IPv4ネットマスク255.255.255.0

初めてVirtualBox上で仮想ネットワークを構築する場合は、ネットワークアダプターを1つ設定するだけでOKです。ただし、より高度な環境や複数のネットワークを扱う場合には、ネットワークアダプターを追加設定する必要があります。

仮想マシンのネットワークを設定

ネットワーク設定例

割当IPアドレス用途
アダプター1NATDHCPインターネット接続
アダプター2ホストオンリーアダプター固定IPアドレス仮想ネットワーク用

仮想マシンを起動した状態では、ネットワーク設定はできません。もし、Kali Linuxの仮想マシンを起動している場合は、シャットダウンしてから下記の作業を行ってください。

STEP

設定画面を起動

対象となる仮想マシン(Kali Linux)を選択後、設定アイコンをクリックし、設定画面を開きます。

VirtualBoxの設定画面を起動

続いて、Expertタブを開き、ネットワークを選択します。

ネットワークの設定画面を開く
STEP

アダプター1を設定

アダプター1は、NATを使用します。これにより、Kali Linuxからインターネットに接続できるようになります。

アダプター1を設定(NAT)
STEP

アダプター2を設定

アダプター2は、ホストオンリーアダプターを使用します。これにより、Kali LinuxとホストOSや他のゲストOSとの通信ができるようになります。

  1. ネットワークアダプターを有効化:チェック
  2. 割り当て:ホストオンリーアダプター
  3. 名前:前述で作成したネットワークアダプター
アダプター2を設定(ホストオンリーアダプター)

ネットワークアダプターを複数作成している場合、適切なネットワークアダプターを選択してください。

STEP

MACアドレスを確認

後述の作業でMACアドレスを使用するので、アダプター1、2のMACアドレスを控えておきます。

アダプター1のMACアドレス
アダプター2のMACアドレス
アダプター1080027D1F85D
アダプター20800277EFB06
STEP

OKボタンを押下

ネットワーク設定画面のOKボタンを押下
STEP

設定したネットワークが反映されていることを確認

仮想マシンの詳細画面にて、設定したネットワーク情報を確認することができます。

仮想マシンの詳細画面を開く

アダプター1は「NAT」、アダプター2は「ホストオンリーアダプター」が設定されていることを確認します。

アダプター1は「NAT」、アダプター2は「ホストオンリーアダプター」が設定されていることを確認
STEP

最後にKali Linuxを起動

起動アイコンをクリックし、Kali Linuxを起動します。

Kali Linuxが起動しない場合

もし、VERR_INTNET_FLT_IF_NOT_FOUNDなどのエラーが表示され、Kali Linuxが起動しない場合、以下の手順に従い、ネットワークアダプターを再起動して下さい。

Kali Linuxが起動した場合、このセクションの作業は不要です。次のセクションにお進み下さい。

ネットワークアダプターを再起動

STEP

Windowsスタートメニューの「設定」から「ネットワークとインターネット」を選択

Windowsスタートメニューの「設定」から「ネットワークとインターネット」を選択
STEP

画面中盤にある「アダプターのオプションを変更する」をクリック

「アダプターのオプションを変更する」をクリック
STEP

対象のネットワークアダプターが存在することを確認

デバイス名が「VirtualBoxで割り当てたホストオンリーアダプターの名前」と一致するアダプターを探します。
例)VirtualBox Host-Only Ethernet Adapter #2

対象のネットワークアダプターが存在することを確認
STEP

対象のネットワークアダプターを右クリックし、「無効にする」を実行

対象のネットワークアダプターを右クリックし、「無効にする」を実行
STEP

同様の手順で「有効にする」を実行

対象のネットワークアダプターを右クリックし、「有効にする」を実行
STEP

最後にKali Linuxを起動する

IPv6を無効にする

ネットワークアダプターを再起動してもKali Linuxが起動しない場合、IPv6を無効にします。

STEP

対象のネットワークアダプターを右クリックし、プロパティを選択

対象のネットワークアダプターを右クリックし、プロパティを選択
STEP

「インターネットプロトコルバージョン6」のチェックを外し、OKボタンをクリック

「インターネットプロトコルバージョン6」のチェックを外し、OKボタンをクリック
STEP

前述と同様の手順で、ネットワークアダプターを無効にする

STEP

前述と同様の手順で、ネットワークアダプターを有効にする

STEP

最後にKali Linuxを起動する

Kali Linuxのネットワーク設定

Kali Linux側のネットワーク設定を確認

例)ターミナルでipコマンドを実行

$ ip a
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000
    link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
    inet 127.0.0.1/8 scope host lo
       valid_lft forever preferred_lft forever
    inet6 ::1/128 scope host noprefixroute
       valid_lft forever preferred_lft forever
2: eth0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000
    link/ether 08:00:27:d1:f8:5d brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 10.0.2.15/24 brd 10.0.2.255 scope global dynamic noprefixroute eth0
       valid_lft 85754sec preferred_lft 85754sec
    inet6 fd17:625c:f037:2:c313:fea5:17e6:af11/64 scope global dynamic noprefixroute
       valid_lft 86022sec preferred_lft 14022sec
    inet6 fe80::5020:1b8f:b855:38b7/64 scope link noprefixroute
       valid_lft forever preferred_lft forever
3: eth1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000
    link/ether 08:00:27:7e:fb:06 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet6 fe80::c6e5:88cf:5c5f:8e58/64 scope link noprefixroute
       valid_lft forever preferred_lft forever

MACアドレスを確認

ネットワークインターフェース(eth0、eth1)のMACアドレスを確認し、それらがVirtualBox環境で設定したネットワークアダプターのMACアドレスと正しく関連付けられているかを確認します

Kali LinuxのネットワークインターフェースVirtualBoxのネットワークアダプター
【eth0】08:00:27:d1:f8:5d【アダプター1】080027D1F85D
【eth1】08:00:27:7e:fb:06【アダプター2】0800277EFB06

IPアドレスを設定

ネットワークインターフェースの設定ファイルに、IPアドレスなど必要なネットワーク情報を設定します。

設定例

ネットワークインターフェースIPアドレスの割り当て方式
eth0DHCP
eth1固定IPアドレス(192.168.10.11)
STEP

IPアドレスなど必要なネットワーク情報を設定

viなどのエディタでinterfacesファイルを編集して下さい。

$ cat /etc/network/interfaces
# This file describes the network interfaces available on your system
# and how to activate them. For more information, see interfaces(5).

source /etc/network/interfaces.d/*

# The loopback network interface
auto lo
iface lo inet loopback

# NAT network interface
auto eth0
iface eth0 inet dhcp

# Local network interface
auto eth1
iface eth1 inet static
address 192.168.10.11
netmask 255.255.255.0
STEP

ネットワークサービスを再起動

$ sudo systemctl restart networking.service
STEP

設定内容を確認

IPアドレスなど、設定した内容が反映されていることを確認します。

$ ip a
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000
    link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
    inet 127.0.0.1/8 scope host lo
       valid_lft forever preferred_lft forever
    inet6 ::1/128 scope host noprefixroute
       valid_lft forever preferred_lft forever
2: eth0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000
    link/ether 08:00:27:d1:f8:5d brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 10.0.2.15/24 brd 10.0.2.255 scope global dynamic noprefixroute eth0
       valid_lft 86394sec preferred_lft 75594sec
    inet6 fd17:625c:f037:2:6ed6:7160:ab9c:92f1/64 scope global dynamic mngtmpaddr noprefixroute
       valid_lft 86393sec preferred_lft 14393sec
    inet6 fd17:625c:f037:2:c313:fea5:17e6:af11/64 scope global dynamic noprefixroute
       valid_lft 86393sec preferred_lft 14393sec
    inet6 fe80::5020:1b8f:b855:38b7/64 scope link noprefixroute
       valid_lft forever preferred_lft forever
3: eth1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000
    link/ether 08:00:27:7e:fb:06 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 192.168.10.11/24 brd 192.168.10.255 scope global eth1
       valid_lft forever preferred_lft forever

ネットワークの疎通確認

例.Kali LinuxからホストOS(Windows 10)への通信を確認

$ ping -c 3 192.168.10.1
PING 192.168.10.1 (192.168.10.1) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 192.168.10.1: icmp_seq=1 ttl=128 time=0.511 ms
64 bytes from 192.168.10.1: icmp_seq=2 ttl=128 time=0.328 ms
64 bytes from 192.168.10.1: icmp_seq=3 ttl=128 time=0.332 ms

--- 192.168.10.1 ping statistics ---
3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 2039ms
rtt min/avg/max/mdev = 0.328/0.390/0.511/0.085 ms

例.ホストOS(Windows 10)からKali Linuxへの通信を確認

C:\>ping -n 3 192.168.10.11

192.168.10.11 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
192.168.10.11 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64
192.168.10.11 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64
192.168.10.11 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64

192.168.10.11 の ping 統計:
    パケット数: 送信 = 3、受信 = 3、損失 = 0 (0% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
    最小 = 0ms、最大 = 0ms、平均 = 0ms

例.Kali Linuxから他のゲストOS(192.168.10.102)への通信を確認

$ ping -c 3 192.168.10.102
PING 192.168.10.102 (192.168.10.102) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 192.168.10.102: icmp_seq=1 ttl=64 time=0.671 ms
64 bytes from 192.168.10.102: icmp_seq=2 ttl=64 time=0.655 ms
64 bytes from 192.168.10.102: icmp_seq=3 ttl=64 time=0.584 ms

--- 192.168.10.102 ping statistics ---
3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 2184ms
rtt min/avg/max/mdev = 0.584/0.636/0.671/0.037 ms

例.他のゲストOS(192.168.10.102)からKali Linuxへの通信を確認

$ ping -c 3 192.168.10.11
PING 192.168.10.11 (192.168.10.11) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 192.168.10.11: icmp_seq=1 ttl=64 time=0.334 ms
64 bytes from 192.168.10.11: icmp_seq=2 ttl=64 time=0.627 ms
64 bytes from 192.168.10.11: icmp_seq=3 ttl=64 time=0.599 ms

--- 192.168.10.11 ping statistics ---
3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 1998ms
rtt min/avg/max/mdev = 0.334/0.520/0.627/0.132 ms

Kali Linuxをマスターする

Kali Linuxを日本語化する

Kali Linuxは初期状態だと英語ベースですので、日本語キーボード、日本語入力、日本語表示が必要な方は、下記の記事を参考にセットアップしてください。

安心・安全な環境でKali Linuxを動かす

Kali Linuxに含まれる各ツールを第三者サーバーに対して使用すると、法的リスクを伴う可能性があります。実際にツールを試したい方はやられアプリがおすすめ。ローカル環境に構築した「やられアプリ」を使用すれば、法的リスクを気にせず、安心・安全にKali Linuxを実行することができます。詳しくは、下記の記事をご覧ください。

Kali Linuxのツールを使い倒す

Kali Linuxには、多数のセキュリティツールが標準でインストールされています。下記の記事では、各ツールの使い方を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

デフォラボ

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